フェルマとデカルトの接線法による生徒の数学観の変容

〜原典を用いた文化的営みとしての数学授業〜

 

筑波大学大学院教育研究科

井野口浩

 

IEA(国際教育到達度評価学会)の第3回国際数学・理科教育調査の報告によると、日本の中学2年生において、成績は良好であるが、数学好きのレベルは比較国中で下位であり、数学離れが進んでいることがうかがえる。今日、学んでいる数学が、生徒にとって、暗記、難しい、面白くないといった否定的な考えが先行している。生徒は数学を、問題を解くというものとしてみなしていると考えている。そういった生徒の数学観が存在していると思われる。そのような生徒の数学観を築き直すのが今後の数学において必要である。

 数学観を築き直すための機会として2003年度より高等学校で導入される「数学基礎」がある。その「数学基礎」の目標の1つに『数学と人間との関わり』に関して数学における概念の形成や原理・法則の認識の過程と人間や文化との関わりを中心として、数学史的な話題を取り上げることが例示されている。

本研究では、偉大な数学者である、フェルマ及びデカルトの論文『極大及び極小値研究のための方法』、『幾何学』を一次文献とし、その論文から、接線法、接線問題を取り上げ、高校数学において重要な分野、微分法がどのような経緯をたどって生まれてきたのかを原典を用いて、生徒に当時の数学を追体験させることにより、生徒の数学観を変容させることを目的として授業を行った。

実際に授業をする際に、学校のカリキュラムのため、微分法は未習であったので、生徒達にとって、微分法というものがどういうようなものか不明であったが、『一次文献である原典を読みながら追体験することで、連続性・発展性を感じとり、数学では絶えず新発見が行われていることを認知する。』という研究目的の課題に対し、授業終了後の調査票の結果からは、生徒の数学観の変容をうかがえた。

 

【参考文献】

礒田正美・土田知之(2001)異文化体験を通じての数学の文化的視野の覚醒;数学的活動の新たなパースペクティブ 日本科学教育学会年会論文集、pp497~498

Rene.Descartes1954the geometry of RENE DESCARTES translated from the French and Latin by David Eugene Smith and Marcial L, Latham Dover Publication,Inc. New York

Piere.de.Fermat(1629)OEUVRES de FERMAT Methodus ad Disquiredam Maximam et Minimam